「だが、村から子供達が急にいなくなったのでは、ランフォルセの者らが気づくのではないか?」
「あ、そうだよね、それでもしここが……ライゼちゃんのことがバレちゃったら大変だよ!」
「それは、おそらく大丈夫です」
私達の懸念に低く答えたのはブライト君だった。
「気が向いたときにだけ見回りに来るような奴らなので……」
その言葉には明らかに怒気が含まれていた。
誰かに支配されているという感覚は、平和な国でこれまでぬくぬくと育ってきた私には到底わかりっこないけれど、彼がその人たちを嫌って……違う、憎んでいることははっきりとわかった。
そして魔導術士とこの国の人たちが昔敵同士だったという事実。
……ラグのことも、同じように憎んでいるのだろうか。
(ブライト君だけじゃない。もしかして、ライゼちゃんも?)
ラグは今、どういう気持ちでこの地にいるのだろう。
彼は早くこの国から出たがっていた。
それは、単にエルネストさんがいないとわかったからではないのかもしれない。
見ると彼はまだひとり、目を伏せていた。



