「あ、でもホント、全く役に立たなかったらゴメンね。精一杯がんばるつもりだけど」

 するとライゼちゃんはまたにっこりと笑ってくれた。
 その笑顔は何度見ても可愛らしくて。

(きっと男の子なら確実にクラっときちゃうよね)

 そしてふと頭に浮かんだのは、あの男の子。

「ねぇ、ライゼちゃん。あのブライト君のことなんだけど」
「はい」
「幼馴染って言ってたでしょ? ってことは昔からお互いのこと知ってるってことだよね!」
「はい、そうですが……?」

 きょとんとした顔のライゼちゃんに私はニヤニヤと笑って続けた。

「二人とも、好きとか、そういう気持ちはないの?」

 途端、ライゼちゃんが慌てたように首をぶんぶんと横に振るう。

「あ、ありません! そんな、ブライトは私のことをそんな風には見ていませんし、私も考えたこともありません!」
「え~? そうなの~?」

 ちょっと意地悪そうに言ってみる。

(私が見るに、少なくともブライト君はライゼちゃんのこと好きだと思うんだけどなぁ)

 まだ彼の姿を見たのはあの時一度だけだが、あの心配の仕様は幼馴染とか、神導術士だからとか、そういうもの以上の感情があったように思えた。だが、

「そうです! ……それに、私にはもう婚約者がいますから」

恥ずかしそうに俯いて言うライゼちゃんに、一瞬思考が止まる。