そして、あの上空から確認したテントの前までやってきた私達。
 そのテントの先は見上げるほどの高さがあり、こうして近くで見ると結構な迫力があった。
 しかし細長い形のため床の面積はそこまで広くないように思える。
 この人数で果たして寝られるのだろうかと不安になったときだ。

「申し訳ないのですが、ここには女性しか入ることができないのです」

 ライゼちゃんのその言葉にラグの眉がぴくりと上がる。

「お兄さんとブゥは僕とお父さんと一緒ね! ほらあそこに見えるでしょ? あそこが僕達の家」

 ラウト君が指差した方を目を凝らして見ると確かにもうひとつ家らしきものが確認できた。
 そちらはテント型ではなく、丸みのある建物だった。

「え? 別の家に住んでるってこと?」
「はい。遠い昔から神導術士はここに。その家族はあちらにという決まりになっているのです」

 家族なのに別の家で過ごすなんて、近くとはいえ少し寂しい気がした。
 これもライゼちゃんが特別な存在だからなのだろうか。
 幼馴染だと言っていたあのブライト君も彼女のことを「ライゼ様」と呼んでいた。

 そんな彼女にこの国の人たちを助けて欲しいとお願いされ、今私はここに居る。
 そう思ったら急に、また不安になってきてしまった。