キッチンに向かい、玲二くんと洗い物をする。
 沙羅たちは戻ってくる気配がない。

 買い物という名目で外出した三人だが、気を利かせてどこかで時間を潰しているのだと思う。

「玲二くん」
「ん?」
「わたしも、思ってること。というよりは、暴露――になるかもしれないこと。話していいかな」
「どんとこい」
「これは。誰にも言ってないことなんだけど」

 玲二くんが、神妙な顔つきになる。

「仁瀬にも?」
「うん」
「聞いていいのかよ。それ」
「巧くんは。話してないけど、知ってるみたいだった」
「話してないのに……?」
「うん。ひょっとすると、お金使って調べたのかも。探偵とか」
「マジかよ」
「どこまで知ってるかはわからない」

 これから話すのは。
 わたしの、すべて。

「玲二くんに。聞いてほしい」
「相変わらず俺のツボついてくるな」
「えっ」
「話せよ。ちゃんと聞くから」
「……うん」


 わたしは、父と二人で暮らしている。

「四人家族だった」
「だった?」
「お兄ちゃんが。いたらしい。お兄ちゃんって言っても、生きていればわたしと同じ年の高校一年生」
「……双子?」
「そう。お兄ちゃんとわたしは、双子の兄妹だった」