二人きりの、静寂な病室で――

「花。辛くない?」
「大丈夫」
「本当に?」
「ヘンなの。巧くんが。優しい」
「花が可愛いから」
「……泣いてないのに?」
「花が、初めて心から僕に笑いかけてくれてる」
「わたし、そんなに巧くんの前で笑えてなかった?」
「笑えてなかった」
「でも。それは、イジワルなこと言うから……」
「花は泣き顔もかわいいけど。やっぱり、笑顔がいちばん可愛いね」

 ――わたしは、巧くんと結ばれた。