たしかにわたしは巧くんの気持ちを受け止めはじめている。
 歪んでいても。壊れていても。

 それが巧くんだというなら、知りたい。
 そんな巧くんのこと認めていきたい。

 それでも。
 受け入れられないことは、ある。

「だめ」
「どうして?」
「わたしちは、まだ。高校生だから」
「中学生でもやってることなのに?」
「できたらどうするの」
「できないようにする」
「それでも確実じゃないって、授業で習った」
「大丈夫。正しくすれば。100%近くの成功率だから。一度も失敗したことがない」
「だけど、」
「僕をそんなくだらない理由で拒絶しないで」
「くだらないってなに!? 命を、軽く考えないでよ」

 それともなに。
 もしものときは、親のお金で解決させるってこと?

「花は、99%の安全性よりも。たった1%の危険性を信じるのか」
「……え?」

 そりゃあ、少しでも可能性があるなら。
 ゼロじゃいなら。

 責任のとれないことは、できないって思うよ?

「だったらきっと。僕は。もうすぐ君の前から消えてしまうね」
「…………巧、くん?」