打ち明けていいだろうか。
 あのこと。

 それは、とても勇気が必要で。
 すべてを話し終えたあと。
 沙羅はわたしと居てくれるだろうか?

「ねえ、ちょっと」
「なんで一般クラスに……」

 ざわついていた、教室が。
 より一層ざわめいたとき。

 いるはずのない声が聞こえた。

「学園祭に参加したいなら他のクラスに混ざれって先生に言われてね。ここなら友達もいるし顔出してみたんだけど。なにか手伝えることある?」

 会いたくないひとが、そこにいると。
 顔をあげなくても。
 声で、わかる。

「ありますあります。大歓迎」
「最強の助っ人現る……!」
「お店に立ってくれるなら、集客凄いことになるよね」
「っていうか。友達って誰です?」

「ああ。それは」

 呼ばないで。

「楠田さんって子」

 ――え?

「仁瀬くん!? え、うち?」

 目を輝かせた沙羅が仁瀬くんに近づく。

 やめて。
 沙羅に、関わらないで。

「うちより花の方が仲いいですよね……って、花。泣いてるの?」

 不意打ちで話しかけられて、焦る。

「ちがっ……これは」
「レイジ。なに言ったの」

 沙羅が近づいてくる。 

 顔を沙羅の方に向けようとして、あの男と、目が合った。