芳田くんはわたしのことを未知と言った。
けれど、わたしは芳田くんが未知だと思う。
「男の子って。謎」
「小糸井さんがそれをいうか」
「だって。生態が」
「興味出てきたってこと?」
「少しだけ」
「それは大きな成長だな」
たしかに、そうかもしれない。
友達付き合いも。
異性への関心も。
ゼロだったのが、ゼロでなくなった。
0%と1%は大きく違う。
「芳田くんと沙羅のおかげだよ」
「もっと興味持てば」
「え?」
「小糸井さんの素朴な疑問に。俺が、どんどん答えよう」
「え、じゃあ。下ネタってなに?」
「……それ以外」
「ビキニのなにがいいの?」
「いったんそういうハナシから離れよーな」
「……キス」
「ん?」
――キス、気持ちがなくてもできる?
「ううん」
「なんだよ」
「質問考えておく」
「おう」
泣き顔が、かわいいって言われたとき。
どんな反応みせるのが正解?
「なあ。俺からもひとつ聞いていいか」
「うん」
「もしも悩んでるのが。仁瀬のことで」
…………!
「沙羅に遠慮してるなら。ひとまず、俺に話していーよ」
「…………」
「もちろん言いたくないなら言わなくていい。秘密は守る。こんなの勝手な憶測だ。それでも言っとくと。全部まとめて小糸井さんのこと、受け入れたい」
――受け入れる?
「力になれたらいいなと思う。余計なお世話だって思われても。沙羅も。きっと、同じ気持ち」
「……っ」
「待て。おい……、泣いてんのか?」
わたしが思わず両手で顔をおさえたものだから、芳田くんが焦る。
「だいすき」
「は?」
「芳田くんも。沙羅も」
「俺……、たちだって。小糸井さんのこと。好きだ」
「ありがとう」
けれど、わたしは芳田くんが未知だと思う。
「男の子って。謎」
「小糸井さんがそれをいうか」
「だって。生態が」
「興味出てきたってこと?」
「少しだけ」
「それは大きな成長だな」
たしかに、そうかもしれない。
友達付き合いも。
異性への関心も。
ゼロだったのが、ゼロでなくなった。
0%と1%は大きく違う。
「芳田くんと沙羅のおかげだよ」
「もっと興味持てば」
「え?」
「小糸井さんの素朴な疑問に。俺が、どんどん答えよう」
「え、じゃあ。下ネタってなに?」
「……それ以外」
「ビキニのなにがいいの?」
「いったんそういうハナシから離れよーな」
「……キス」
「ん?」
――キス、気持ちがなくてもできる?
「ううん」
「なんだよ」
「質問考えておく」
「おう」
泣き顔が、かわいいって言われたとき。
どんな反応みせるのが正解?
「なあ。俺からもひとつ聞いていいか」
「うん」
「もしも悩んでるのが。仁瀬のことで」
…………!
「沙羅に遠慮してるなら。ひとまず、俺に話していーよ」
「…………」
「もちろん言いたくないなら言わなくていい。秘密は守る。こんなの勝手な憶測だ。それでも言っとくと。全部まとめて小糸井さんのこと、受け入れたい」
――受け入れる?
「力になれたらいいなと思う。余計なお世話だって思われても。沙羅も。きっと、同じ気持ち」
「……っ」
「待て。おい……、泣いてんのか?」
わたしが思わず両手で顔をおさえたものだから、芳田くんが焦る。
「だいすき」
「は?」
「芳田くんも。沙羅も」
「俺……、たちだって。小糸井さんのこと。好きだ」
「ありがとう」


