仁瀬くんの指が地肌の上をなめらかに動いて。
ゾクリ、と寒気が走る。
「くすぐったい?」
――きもちわるい
耳元で囁かれる声に、ビクッと身震いしたら。
「じっとしていられないの?」
更に手は中に入ってきて。
「どうしてこんなにドキドキしてるの?」
「してない」
「もっとドキドキすることしようか」
「…………や」
「何色?」
「…………」
「言わなきゃ見るけど」
「っ、白」
「苦しい? 今外してあげる」
背中にまわってきた手の指が。
ホックにかけられた、そのとき。
――ガラッ
引き戸が開いて、誰かが中に入ってくる。
――シャッ
その人物は、わたしが横たわるベッドを囲うカーテンを、遠慮なく開けた。
「花!」
「……沙羅」
沙羅が来たときには。
仁瀬くんは、わたしから離れていて。
「立ち上がれなくなったって?」
涙目の沙羅に。
バレないように――
「レイジに、聞いてきて」
ブラのホックを、とめた。
…………慣れてる。
いとも簡単に、片手で外された。
慣れてなきゃそんなことできない。
「って、ええ!? 仁瀬くん?」
ベッドの傍らにいる仁瀬くんを見て、沙羅が飛び跳ねる。
「どうしてここに?」
沙羅の耳にはまだ、さっきの出来事の詳細が伝えられていないらしい。
あんなに目立つことをしたのだ。
噂になるのも時間の問題だろう。
「ちょうど通りがかった僕が、ここに連れてきたんだ。手ぶらだったしね。一緒にいた男子には荷物任せたよ」
「そうなんだ!? ありがとう!」
「じゃあ、僕はこれで。お大事に」
まるで、なにもなかったみたいに。
仁瀬くんはカーテンの向こう側に消えていった。
ゾクリ、と寒気が走る。
「くすぐったい?」
――きもちわるい
耳元で囁かれる声に、ビクッと身震いしたら。
「じっとしていられないの?」
更に手は中に入ってきて。
「どうしてこんなにドキドキしてるの?」
「してない」
「もっとドキドキすることしようか」
「…………や」
「何色?」
「…………」
「言わなきゃ見るけど」
「っ、白」
「苦しい? 今外してあげる」
背中にまわってきた手の指が。
ホックにかけられた、そのとき。
――ガラッ
引き戸が開いて、誰かが中に入ってくる。
――シャッ
その人物は、わたしが横たわるベッドを囲うカーテンを、遠慮なく開けた。
「花!」
「……沙羅」
沙羅が来たときには。
仁瀬くんは、わたしから離れていて。
「立ち上がれなくなったって?」
涙目の沙羅に。
バレないように――
「レイジに、聞いてきて」
ブラのホックを、とめた。
…………慣れてる。
いとも簡単に、片手で外された。
慣れてなきゃそんなことできない。
「って、ええ!? 仁瀬くん?」
ベッドの傍らにいる仁瀬くんを見て、沙羅が飛び跳ねる。
「どうしてここに?」
沙羅の耳にはまだ、さっきの出来事の詳細が伝えられていないらしい。
あんなに目立つことをしたのだ。
噂になるのも時間の問題だろう。
「ちょうど通りがかった僕が、ここに連れてきたんだ。手ぶらだったしね。一緒にいた男子には荷物任せたよ」
「そうなんだ!? ありがとう!」
「じゃあ、僕はこれで。お大事に」
まるで、なにもなかったみたいに。
仁瀬くんはカーテンの向こう側に消えていった。


