――ラブ イズ ブラインド。

 恋は盲目とは、このことを言うのだな。
 王子は王子でも性格に難ありでしょ。
 あれでどうやって先生の信頼まで得るのだか。
 成績良ければそれでいいの?

 ……って。
 なにをイライラしてるんだろう。
 他人に気を荒立てるなんて、無意味なのに。

 他人は簡単には変わらない。
 変わらないものだと思って接した方がラクだ。

 そもそもに関わることない。
 これで最後だ。
 沙羅のために特進クラスに出向き、本を返してもらって、そしておしまい。

 仁瀬巧と関わるのはこれが最後。

 そのつもりだったのに。


「……なかった?」
「うん」

 昼休み。
 ご飯を食べたあと、沙羅と特進クラスにやってきたわたしに。

 仁瀬くんは、とんでもないことを言い放った。

「どういう意味」
「そのままだよ。机に入れた本が。机に、なかった」
「そんな小学生でもしない言い訳やめてよ」

 すると、近くの席の子が会話に加わってきた。

「仁瀬くんの私物って。よくなくなるよね」
 …………は?