仁瀬くんは壊れてる

 我が二年一組は演劇をすることに。

「はいはーい! うち、ヘアメイク担当!」

 沙羅は今年もクラスを盛り上げている。

 去年はオネエ案が却下されたが、今年はヒーロー役を女子、ヒロイン役を男子が演じるという沙羅のアイデアはすんなり通った。

 演目は――……

「花、ほんとにいいの?」

 不思議の国のアリス、二年一組バージョン。

 誰もが知るであろうルイス・キャロル原作のあの物語を、笑って楽しめるものに仕上げるらしい。

「うん」

 わたしは、物語の重要人物である、狂った帽子屋を演じることになった。

 というのも――

『あえて真面目な子が演じたほうがおもしろいと思う』

 って、わたしを推薦してきたクラスメイトがいるからだ。