#11


 毎日が、あっという間に過ぎていく。

 高校一年生でいられるのも残り半分を切ってしまったという実感がわかない。

「信じらんない」

 テストの答案用紙と睨めっこする、沙羅。

「何度見ても変わんねーぞ」
「わかってるよ。ちなみに何点だった?」
「97。ケアレスミスしたのが痛かったな」
「全然いたくない! そんな点数見たことがないっ!」
「見せてやろーか」
「見せんな」
「はは」

 沙羅&玲二くんカップルは、この通り。
 絶妙な距離感をキープしている。
 喧嘩するほど仲がいいというやつだな。

 付き合うことになったときは急展開にビックリしたけど、ひょっとすると、二人はこうなる運命だったのではと思えてならない。

 付き合いたてホヤホヤのカップルというよりは、熟年夫婦みたい……って言うと沙羅に怒られるかな。

「だる。帰りたい」
「まだ一教科しか受けてねーのに。そんなんで放課後までもつのかよ」
「仕方ないじゃん。今日は。特にやる気出ない日なんだから」
「なんだそれ。気まぐれか」
「男子にはわかんないよ、一生」

 そこで意味がわかったのか、罰の悪そうな顔をする玲二くん。

「あー……沙羅。なにか欲しいものあるか」
「別に」
「ジュース。買ってこようか」
「イラナイ」
「なら。プリンは」
「欲しい」
「そんじゃ、昼休みになったら。ダッシュで買ってくる」
「許す」