沙羅と玲二くんが喧嘩してしまった。

「そんな怒らせることかな」
「んー……」

 席替えで、玲二くんと前後になった。
 沙羅とは今回は離れている。

 いつもなら休み時間には沙羅からこっちにきて三人で話す流れなのに。
 沙羅は、果歩たちと話していて来る気配がない。

「相手が本気なのに俺がオッケーしたのは誠実とは言えないかもしれねーけど。キレることかな」
「その彼女さんには。なにか、伝えてあるの?」
「好きなやついるから付き合えない」
 …………!
「それでもいいから彼女になりたいんだとよ」
「そう、なんだ」
「俺もさ。男だから。それなりに、欲はあるし。自分のこと一直線に好きなんて言われたら。やっぱ、かわいいなって思う。それが恋愛感情じゃないとしても」
「うん」
「こんなこと花に言うべきじゃないかもしれないけど。花が俺のことみてくれるなら。俺も花しか見ないよ」
「……っ」
「でも、俺は、花と仁瀬のこと応援するって決めた。この先、いつまでも花ばかり見てるのは。俺もだけど、花もつれえだろ」
「……玲二くん」
「なにが正解なんだろうな。どうして花は一人しかいないんだろうって、バカげたこと真面目に考えちまうわ」