「告られたの? ねえねえ」

 玲二くんが戻ってくると、沙羅がすかさず質問する。

「ああ」
「オッケーした?」

 玲二くんは、なにも答えない。

「そっかそっか。まったく、レイジってやつは。あんなに可愛い子ふるなんて――」
「付き合うことになった」
「罪な男だ……ね……えぇ!?」

 玲二くんの返答が予想外で沙羅が固まる。
 わたしも、ビックリした。

「そうなの? なんで?」
「断ったんだ」
「なのに、付き合うことになったの?」
「試合。見に来てくれてて」

 噂の熱狂的なファンだ!?

「正直、こっちは記憶にないんだけど。中学の頃から応援してくれてるらしくて。最近、俺に告る子が増えて焦って。勇気出してくれたらしい」

 まさかの長年の片想い……!

「他の子は、軍服の俺にひと目惚れ……って子ばかりだっただけに。俺も忘れてるような試合のこと熱心に語られて。グラッと」
「それでオッケーしたの?」
「いけなかったか」
「だって。その子に、恋してるわけじゃないのに」
「たしかに。今は、彼女ができたことに違和感あるな。別に好きって気持ちもねえし」
「……サイテー」
「なんだよ。いつもイケメンだったら付き合えなくてもキスだけして欲しいとか言ってるヤツに言われたくねーよ」
「言うのと実際にチャラいことするのは違うでしょ。見損なったよ、玲二」