中には、便箋一枚と――

 “誕生日おめでとう、花”

 メッセージカードと、それからネックレスが入っていた。

 こんなのいつ買ってくれたんだろうって。
 泣きそうになりながら鏡の前でそれをつけた。

 手紙には、こう書いてあった。

 “次は。僕が、この手で君の指にはめられるといいな”

 その文面から、指輪を買ってくれると予想がつく。これは自惚れではないはず。

 治療のことは、なにも書かれていなかった。

 大変なことも。辛いことも。

 わたしを祝うメッセージと。
 来年のことと。

 それから、最後に

 “花のおかげで今日も生きていられる。大好きだよ。”

 その文字を読んだとき、我慢していた涙が溢れた。

 逢いたい。
 話がしたい。
 抱きしめて欲しい。

 そう感じたとき、

『僕のために泣いてるの? かわいいね』

 ここに巧くんがいたら、きっとそんな言葉をかけてくるんだなって思った。

 ねえ、巧くん。わたし。
 逢えない時間も、あなたのこと、想ってるよ。