Sucre' amour

「これ、サービスです」

フランシスが夢芽に近づき、ミルクティーを置く。果実がデザインされたカップとソーサーは、テーブルの上を華やかにしている。

「おいしそうですね!Merci beaucoup(ありがとうございます)」

「いえ、ごゆっくり」

フランシスは頰を赤く染めながら、また接客に戻って行った。夢芽はときめく胸に手をそっと当て、ミルクティーを味わう。

シャルロットの甘さと、ミルクティーの苦さが交わる。まるで恋のようだと夢芽は思った。



それから二週間後、夢芽は雨の中通りを走っていた。着ている赤いトップスと花柄のスカートは濡れている。

雨は地面に激しく叩きつけている。通りを行く人はみんな傘を差していた。

「あ〜!もう!こんな時に傘を忘れるなんて……」

夢芽の呟きは雨音でかき消される。

隣街へ仕事で電車で行っていた夢芽は、天気予報で「雨が降る」と言っていたのに傘を忘れてしまったのだ。電車を降りた頃には街は土砂降りだった。