調理用に開発されたAIが作った食事を提供する。

管理してるのは1人の生身の人間。

だけど、表立っては出てこない。だからこそ、この店が気に入っていた。

客は数人。

一人の女性の話し声に目を向けた。

連れはいない。

その光景は珍しいモノではない。

0を保持している限り、話さなくてはならないから。

だけど…彼女が話しているのは…

「あそこの彼女は0と話しているのか?」

小声で俺の0に聞いた。

【いや、0おらん。彼女の前には。】

という事は…コミュニケーションを取る必要のないAI(機械)と話しているという事か?

何て…意味のない事を。

ため息を吐く。

「変わった、女。」

【0の必要ない人やな。】

「どういう事だ?結婚を望まない人か。」

【いや、自由恋愛中。つまり、彼氏がおる。】

…変わった…女なのに?

奇特な男もいたもんだ。

それから、暫く彼女を見ていたが

接するAI(機械)全部に話しかけている。

時折、笑いながら。

返事など有るわけないのに。

…理解不能。

無駄が過ぎる。

やがて、待ち人の生身の男性が到着すると、食器を下げたAIに礼を言って

その男性の腕に自分の腕を絡めた。

嬉しそうに笑いながら。

相手がAIでも、恋人でも…

彼女は笑っていた。

理解出来ない一番苦手な女。

なのに…

俺は俺のSS0にいくつかの質問をした。