「鍵閉めといたよ」
「ほんと?助かる〜!」
「ほら食うぞ」
「は〜い!あー疲れた〜」
「猫被りめ」
誰も来ないことを確認すると屋上で大の字に寝っ転がる加恋
「なんとでもどうぞ〜。どうせ猫被りですよ〜だ」
「お前のどこが天使か俺は知りてえよ」
「うるさいなぁ。ちょっと喋っただけでコロッと落ちる男が悪いのよ」
「お前見た目だけはいいからな」
「だから見た目で惚れる男なんて願い下げだっつーの!」
「にしても振るのが面倒くさいから天然キャラってよくも考えたよな」
お分り頂けただろうか
俺の幼馴染、佐倉加恋は超が付くほどの猫被りだ
見た目は天使かもしれないが、中身は悪魔
勿論、さっきの告白も本当に出掛けの誘いだなんて思っていない
あれはわざとだ
「だって振ったら振ったでしつこくしてくる男とか無理矢理襲われる可能性だってあるでしょ」
「確かにな」
「だったら告白って気づいてないフリの方がチャンスあるって思ってすんなり受け入れるじゃない」
「まあな」
「でもそろそろこの天然キャラ疲れるんだよね〜」
「そりゃそうだろうな」
「あー!!疲れたー!!」
普段はお互い別に弁当を食べてるけど、定期的に加恋の愚痴を聞かされるためにこうしてさっき見たく昼に誘われる
無論、小さい頃から毎日一緒に居るからこいつの性格悪いのなんて最初から知っている
俺しか知らない加恋
っていう優越感があるのをきっとこいつは知らない


