「あの、佐倉さん居ますか?」
「えっと…私になにか用事ですか??」
ハヤトの抗議を無視していると、1人の男が教室に入ってきて加恋を呼び出した
あれは確かーー
「隣のクラスのサッカー部エースだよ」
「ちっ」
「おー怖い怖い」
耳打ちしてくれた情報通のハヤトに、顔と名前が一致した
さっきまでうるさかった教室が静まり返る
もう言わなくても分かる毎度のパターン
「佐倉さん、俺と付き合って下さい」
何故だかこの学校の男は、加恋に関してだけ公開告白をしたがる
まあそんなの、公開告白でオッケー貰えたら優越感に浸れるからってだけの理由だが。
もう今月に入って3度目の公開告白
「ふえ?どこに付き合えばいいですか?」
気の抜けた声と、首を傾げて当たり前のようにそんな事を言う加恋
そう、コイツはイマドキいない天然記念物並みの天然
「え?いや…じゃ、じゃあ今度駅前に出来た新しいカフェいかない??」
嘘だろ、と顔をしたサッカー部エースはめげずに加恋を誘う
「あ、そこは先約があって…」
「そ、そっか!じゃあ連絡先交換しない?出掛ける場所はそれで決めよう?」
「あ、うん!」
先約って俺のことだよな。
そこって朝加恋から誘ってきたカフェだもんな
教室の入り口でLINEを交換してデレデレ鼻の下を伸ばしているサッカー部エースと、ニコニコ笑顔で話している加恋
「じゃあまた連絡するね!」
「うん!またね〜!」
チャイムが鳴るからとサッカー部エースが教室に帰っていった途端に
「ちょっと加恋!あれサッカー部のエースじゃない!」
「そうだね〜!」
「あの男もなかなか彼女作らないと思ったら加恋狙いだったわけね」
「タク君優しいよね〜」
「あんたいつ知り合ったのよ」
「この前たまたま裏庭で会ってお話ししてたの!」
「はぁ〜!?サッカー部エースの告白すら断るあんたって一体どんな男が好きなのよ!」
「え?あれ告白だったの?てっきり遊びのお誘いかと思ってた〜」
「はぁ…それでこそ加恋だよ。今日も可愛いわよしよし」