それから数日後。
家で母さんが一人で喋っていた、正確には俺に。
「 ねぇこの地区で不審者がいるんだって、全身黒で見るからに怪しいらしくてね、あんたも学校帰り気をつけてよ、羽奈ちゃんにも言っといてね、ほんと怖いわ 」
耳には聞こえてたけど不審者なんて緊急メールや学園のホームページにも事後報告として警戒しろと載せられる。
俺はきっと大丈夫、そんな自信はある。
ただ、間抜けな羽奈が心配なだけ。
気にしていても本人が気にしてくれないと危ないだけだ。
万が一……
そんな事ないとわかってるが、羽奈は俺が守りたい。
他の誰かじゃなく、俺がいい。
「 母さん、牛乳!」
「 はいはい、凛もコーヒー飲めたらねぇ 」
「 いいよ、牛乳で 」
なぜ牛乳か? 冷蔵庫にはジュースだって普通にある、でも毎朝飲んでるから日課的なもの、それだけ。
そのおかげか身長はまだ伸びてる。
学校へ行けば不審者情報で持ちきり。
そのせいで女子がうるさい。
「 泉沢君、あの… 帰り一緒に帰らない?」
なぜ俺に言うのかわかんねぇ。
竹藤は俺の代わりに勝手に返事するからいちいちめんどくさいんだ。
「 泉沢君、帰りにちょっと話が…… 」
学校にいる間、女子に話しかけられてばかりだった。
そんなにも女子が不安なら羽奈は?
雷に半べそな羽奈は?
不審者はいつどこで現れるか誰にもわからない。
羽奈……
まさか羽奈を狙ったりは、ないよな?



