あ!
俺は忘れていた、大事な事。
「 頼… 羽奈のアパート行こ!」
スマホで見てみればやっぱりだ。
「 なんで羽奈?」
「 雨だから!」
「 雨… あー、あれか!」
羽奈の苦手なもの、雨といえば雷だ。
虫はギャーギャー言いながら鬼の形相で退治するのに、雷だけはダメだ。
だから雨で雷予報ある時は羽奈は一人にならないし、させないんだ。
空模様を見て思う。
今頃は羽奈も不安げに空を見ていると。
「 凛、車止めるから先に行け、雷くるぞ 」
「 わかった 」
雨は激しく黒く重い雲が近づく。
遠くでゴロゴロ鳴り出しているのが聞こえる。
「 羽奈!凛だ、いるだろ、開けろよ羽…っ… 」
……羽奈、やっぱりだ。
玄関ドアは開いていて開けて入る俺に羽奈は飛び込んできた。
声もなく、いつも口うるさい達者な羽奈が半べそな顔していた。
子供の頃は頼と二人で怖がる羽奈を守ってた。
本当は俺も怖かったのに、羽奈を守りたくて我慢してた。
今じゃさすがに平気だけど、羽奈は相変わらず雷はダメだ。
好きな女の弱い部分、わかっていながら漬け込みたい。
「 凛… 」
「 うん、いるからいいよ 」
ギュッ… と抱きつく羽奈の腕と制服を握り締める手。
俺がいるから怖くない……
俺がいるから大丈夫……
俺がいるから心配ない……
羽奈の頭にそっとキス。
気づかれないように、キスをした。
「 ひゃっ… 凛、雷っ 」
「 耳、塞いでやるから 」
羽奈の頬を挟んで目を見て言った、安心させたいから。



