周りの音が耳元を刺激する。深い闇の底にいた私の意識は徐々に浮上していく。
目をゆっくりと開け、久しぶりに光を感じた目は閉じたがるが、呻き声を上げながら何とか瞼を開けた。

周りはクラスメイト達が大きな声で楽しそうに話していた。どこもかしくも笑顔、ちょっとつまんなそうにしている人がいるけど、見なかったことにした。

私が起きたことに気がついた隣の女の子は、その可愛らしい顔を覗かせてきた。


「おはよう杏。よく眠れた?」


「うぅ...どうだろ....今どの辺?」


「分かんないけどやっぱりもうちょっとかかるっぽいよ?時間も時間だし。」


私はガックリと肩を落とし、大きくため息を吐いた。


「マジか〜...結構寝てたと思ったのに、全然じゃん....」


「どんまい!でも折角の修学旅行なのに寝てっぱなしじゃつまんないじゃん。起きるのもいいんじゃない?」


そう言ってグッドポーズを向けてきたのは佐藤 玲美。ポニーテイルな上に顔立ちも良くて頭もいい、更には運動も出来るといった完璧な印象。だが、頭は良くてもどこか抜けているところがあって、それも加わり男子からの人気は絶賛で、現在は羨ましい事に彼氏確保中。

その彼氏は後ろの席に座ってポケーっと窓の外を見つめている本堂勝治。