私は皆に着いていくように廊下を出ようとすると、右隣でドアが開く音がした。音に反応して視線を向けると、そこには頬が青紫になっていた純がいた。
「...おはよう杏。」
「え!?ど、どうしたのその痣!」
「あぁ...これは昨日山田に殴られてな...すげぇ一発だった...悔しいけどすぐに気を失っちまって...」
痛みが引けていないのか、純は頬を痛そうに摩った。よく見てみると口元にも固まった血があった。
「ちょ、大丈夫!?ちょっとまってて!」
私は慌てて自分の部屋に入り、色んなところを探った。テレビの下にある棚やトイレ、本棚も乱暴気味に探した。
「....何してんだ?」
「決まってるでしょ!?救急箱だよ!バイ菌とか入ったらどうすんの!」
「こんなん大したことないって...それに俺も部屋の中調べたけどないぞ?」
「あ....そうだったんだ...でも、何処かに救急箱くらいはあるよね?山田もゲーム以外で...その....死ぬことはさせないっぽいし...」
ゲームという言葉を聞いた瞬間、純は歯ぎしりをして悔しそうな表情を浮かべた。その表情を見て私はギュッと心臓を握られるような嫌な気分になった。
ゲームという単語だけで空気は一気に重くなってしまう。


