山田はこのゲーム、"実験"って言ってた。多分、"狂気の薬"が被験者にどういう反応するかってこと。なんで一人しか飲んでないのに、クラス全員巻き込まれないといけないの?被験者以外はただの実験材料なの?


私は腹の底から熱いものがゾワッと上がってきた。あまりにも理不尽な出来事な事に怒りを抑えられない。だが、その怒りも不安という名の水でかき消されてしまう。
私は自分の身体に聞くかのように、そっと右手を自分の胸に当てた。


...私はどうなんだろ?"狂気の薬"を飲んでしまったのかな?もし飲んでしまったら、皆に狙われるってことだよね。玲美にも....純にも...
もし純が黒だったらどうしよ...多分純が人情が人一倍あるのも知られてる。そんな人物に"狂気の薬"を飲ませたらどうなるんだろ?って感じになったとしたら....もしそうだったら私....どうしたらいいんだろ...


決まった訳では無いが、自分の中でその可能性がどんどん膨れ上がり、それに推し潰れそうな感覚に陥った。
自分が純に手をかけることは出来ない。だが、自分が死にたい訳では無い。

頭を回転させればさせるほど不安が過り、蓄積されていく。

その不安を吐き出すように、私は大きくため息を吐き、少しでも気が紛れるようにと本棚に通した。