バスの中では寝ていたが、純はこの修学旅行を人一倍楽しみにしていたに違いない。
それなのにこんな訳の分からないことに巻き込まれて、クラスメイトが傷付けられているのに手を出せず、悔しさと怒りでパンクしそうなのだろう。

そんな純の気持ちを想像するだけで、私の胸はギュッと苦しくなる。


「純...あんたの気持ちはよくわかる。私だってそう。あんな奴らが許せない。
だけど....お願いだから..無茶だけはやめてね?」


「青春ですね〜。そんなのは明日でも出来るのでさっさと部屋に入ってくださいね〜。」


真剣だった私を茶化すように山田はニヤニヤしながら嫌味なトーンで話しかけてきた。
私は山田に背中を押され、半場強引に部屋の中へ入れられた。

ドアが閉まる間際には、山田を睨みつけていた純の姿が見えた。