「み、皆!朝十時になったらすぐにさっきの大部屋に来て下さい!今後の事を話し合いましょう!」


部屋番は出席番号順で偶数、奇数に並ばれており、一番近くに部屋がある元道が部屋に入ろうとした時、山田を気にしながら学級委員長である稀代 美智が口を開いた。

全員真剣な表情をして頷き、無言で次々と部屋に入っていく。

私は部屋のドアノブに手をかけるが、スっと離して目線を左へ移した。
そこには顔を真っ青にして歯ぎしりをしていた純がいた。


「...純海。大丈夫?」


私が声をかけると、流石にまいったのか純は気力のない目を向けてきた。


「お前こそ大丈夫かよ...俺を気にするよりか自分のこと気にしろよ。」


「....でも気になるよ。こんな事になるなんて....」


「あぁ。楽しい修学旅行のはずだったんだがな...」


少しの沈黙が訪れ、純は悔しそうにプルプルと身体を震わしながら握り拳を作っていた。


「一体何の権利があってこんな事してんのか知らねぇけど...許せねぇ....平気で人を撃って...しかも女子に...許されるわけがねぇ....」


「純..」


純はいつも寝ていて、どこか抜けているような印象を持たれがちだが、実は人一倍人情があるやつなのだ。普段の授業は空気のように薄いくせに、学園祭とかみんなで協力してやることがあると、凄いイキイキとしていた。