クスクス笑っている玲美の頭を私は撫でた。
私は心の底から温かくなっていた。

七愛海の死は悲しいし辛い、それこそトラウマになってしまいそうなまでに。だが、純の時には成しえなかった事、自分の大切な人を救う事が出来たというこの結果に私は自分が少しだけ誇らしかった。


その後は何もハプニングも起きず、時間だけが過ぎていく。昨日は眠りにあまりつけず、今日は変な汗ばかりかいてきたからなのか、私は眠気を感じウトウトしていた。


"キーンコーンカーンコーン!

二十二時まで残り十分となりました。黒以外の皆様は二十二時までに個別部屋へ入るようお願いします"


そのアナウンスに私は目を覚まし、大部屋の時計を反射的に見た。アナウンス通り、残り十分となっていた。


「...それじゃ皆さん!個別部屋へ移動しましょう!黒が動き出すとしたらこの時間ですので、くれぐれも注意お願いします!」


美智は緊張気味に発言すると、その緊張が私達に伝染してきた。全員が全員を疑いの目で見ており、誰しもが距離をある程度空けていた。

私は真の件は諦めていた。この状況で黒が何か出来るのは無理に近いし、黒の殺害が起きて明日もある方が嫌だった。



真は許せない。だけど、今日玲美が死にかけてわかった。大切な人を傷付けた復讐なんて後回しでいい。