美智も流石に何も言わず、彼女の亡骸を顔を曇らせながら見ていた。


凛が担架を重そうに持ってくると、元道と二人で担架を展開し、その上へ七愛海をそっと乗せた。まるで訓練されているようにテキパキ行動していた。


「蓮、七愛海を埋葬場まで連れてくの手伝ってくれ。お前がこの中で一番力あるだろ?」


「.......わかった....」


蓮はボソッと呟くように返事をし、元道と共に七愛海を乗せた担架を持ち上げ、大部屋を出ていった。美智はオドオドしながら、凛と一緒に二人について行った。

そこから大部屋から出ていく人はいなかった。今の状況を暗黙の了解で理解したからだった。話し声ひとつすらたたない空間、誰しもが苦しみ悶えるあの七愛海の姿が忘れられなかった。

純や先生とは違い、死に瀕していく者の生の絶叫、苦痛の表情、どれもが衝撃的すぎて忘れようにも忘れられない。

忘れれる者がいるとすれば、この施設の運営陣や既に央土を殺害した者だろう。


しばらくすると、四人が帰ってきた。私達の目線は一気に集中し、七愛海の結果がどうだったのか聞こうとした。
だが、その必要はなかった。四人の顔色を見れば、結果は想像ついてしまった。

美智が一歩前へ出て、ゆっくりと口を開いた。


「...七愛海さんは...白...でした...」