七愛海が動かなくなって数秒後に私達の拘束具が解けた。七愛海の亡骸を見つめながら立ち上がるが、彼女のそばには駆けつけれなかった。夥しい血の世界、数歩歩けば入れる領域だが、別世界のように感じた。

私の他もそうだった。誰も七愛海の傍には行かなかった。彼女の様子を恐怖に顔を歪めながら伺っている。


"処刑場に立たなかったので役職の公開は致しません。調べるのであれば埋葬場を利用して下さい。
これを持って処刑会談を終了します。"


何の感情も感じないアナウンスが鳴り響く。
その死んで当たり前、何の感情もないロボットのような話し手に私は怒りを感じ、スピーカーを睨み付けていた。


なんでこんなことを出来るの?人が死んだっていうのになんでそんな冷静なの?この施設を運営してる人達....人間じゃない!!


何の反応も示さないスピーカーを見つめていると、画面越しでこの光景を楽しんでいる人物、山田の姿が絵に書くように思い浮かんでくる。

すると、後ろで足音が聞こえて私は振り向くと、元道が悔しそうな表情をしながら七愛海の遺体へと近ずき、痛々しい表情で目を見開いている状態で固まっている七愛海の目をそっと閉じた。


「....凛、保健室から担架持ってきてくれ。」


元道が落ち着いた口調で凛に話すと、凛は何を言うまでもなく、頷いてこの場を去った。