故に今回の処刑で栄一か玲美が吊られてしまう可能性は高かった。私は自分の弁明は捨て、玲美を助けるために何とか脳を動かすが、明確な理由は見えてこなく焦っていた。
どうしよう....このままじゃ玲美が...そんなの絶対にヤダ!!純だけじゃなく玲美まで失ったら私は!
そんな葛藤を神様が応えてくれたのか、この場をさらに乱す発言をされるとはこの部屋にいる殆どは思ってもいなかった。
「フフ....もういいや...」
静かな空間に一人の呟きが響く。全員が敏感に反応し、声の主に注目する。
ボソッと呟いたのは栄一だった。ブルブルと震え、目の焦点は合っていなく明らかに動揺していた。
「どうせ....どうせ僕吊られるんだろ?皆...僕を殺したくてたまらないんだ.....」
「く、久川君?どうしたんですか?そんなことは....」
美智が優しく声をかけるが、栄一はそんな美智を睨みつける。だが、それは憎しみよるものではなく、何かの決意が感じられた。
「もういいよ...全部吐く....僕は"誘爆者"だ....黒側の人間だよ....」
その発言に私達は目を見開く。黒に近いグレーの存在とはいえ突然のカミングアウトに私達は呆気に取られた。
「死にたくない....僕は死にたくないんだ。武器庫へ行ったのも僕だ。


