二人は向かい合い、勝治は握り拳を作って元道を睨み付ける。


「....お前...杏に何言った?」



「....どういう意味だ?俺が何を」



「見かけたんだよ、お前と杏が食堂で話をしていたのをよ。俺自身、杏と話をしたかったから話終わるの見越して、プラプラしてたんだ。それである程度して俺が食堂向かってったら、杏がトイレに駆け込んだ姿を見てんだ。
...そん時は食堂で飯を食ってたし、単純に急いでたと思ってたんだ....」


その言葉に元道は目を見開き、強ばった表情は動揺へと変わっていく。


「そ、そんな...」


「何知らん顔してんだ?気が付かなかった俺は馬鹿だ。だけどよぉ....もう一回言う、てめぇ杏に何言いやがった!!」


勝治は元道の胸元をガッと掴んで壁に押し付けた。元道は苦しい顔をしながら、怒りに満ち溢れる勝治を見た。


「そ、それは...本当なのか?....」



「何しらばっくれてんだお前!!ふざけんのもいい加減にしろ!!俺はな...誓ったんだよ。俺の命を使ってでも玲美と杏だけは絶対に守るって....杏に何かあったら純に申し訳がたたねぇ....」


勝治は元道に掴んでる手をプルプル震わしながら、頭を下げていた。
そんな勝治を元道は見つめ、そして私に視線を合わせる。