私は力が籠っていない腕で二人を引き離して、自分の足で歩こうとするがすぐに膝を曲げ、結局二人が身体を支えた。


「お、おい!無理すんな。ちょっと休もう。な?」


私は二人に連れられ、壁に背中を預ける感じで座った。壁はひんやりとしており、何故か心地よかった。


「玲美、食堂から水取ってきてくれ。」


「あ、うん。ちょっと待っててね。」


玲美は急いで私の元を離れて大部屋を飛び出して行った。



「あっ!勝手な行動は!」



「見てわかんだろ?緊急事態だ。大体、今全員ここに集合してるんだからいいだろ?」


玲美の行動に声をかけた美智に勝治は冷たいトーンで話した。美智もそれに薄々納得しているのか、オドオドしながら身を引いた。


「ふぅ....安心しろ杏、今すぐ水持ってきてやっからよ。」


「あ...ありがとう勝治....ごめんね...また足引っ張っちゃって....うっ...」


「お、おい!いいって、そんな事気にすんな。今はとにかく休んどけ。....さてと...」


勝治は優しかった口調からいきなり冷たくなった。目も鋭くなり、勝治が静かに怒っているのを理解したのと同時に私は嫌な予感がした。


勝治はゆっくりと立つと、ある生徒の方へ向かった。

それは元道だった。元道は私の状況を心配そうに見ていたが、勝治が近付くと表情が強ばった。