歩いてきていたのは純だった。こちらに優しく微笑みながら、いつも学校で会う愛しい純が近付いてくる。
いつもの私ならドキドキしながら彼をただ待つが、私は口を両手で隠しながら静かに涙を流した。

死んでしまったかと思っていた。処刑されていたと思っていたが、その実上手く切り抜けたと私は思った。


「良かった...本当に良かったよ ....純....私....純が死んでしまったと....」


純が私の目の前まで来て立ち止まる。身体のどこにも異常はない、いつもの純。私はまるでひれ伏すようにその場で座り込み、溢れ出る歓喜に身を預けていた。


「純...ごめんね....私のせいで純を....そして助けれなかった....あの状況は私の手で切り抜けるはずだったのに、私は...
そ、そうだ純....私....純のことが!」


伝えることが出来なかった私の想い、それを今こそぶつけようとすると、ヌルッと純の背後に黒い人影が現れる。誰かは分からない、だが本能的にそれは良くないものだと感じる。


「純ッ!逃げて!後ろになにかいる!」


私は必死に叫ぶが、純は振り向きもせず私をまるでマネキンのようにジッと見つめていた。
すると黒い人影は純の肩を掴むと、もう片手に持っていたナイフで純の首をスっと切り抜いた。純は白い空間に赤い血を垂れ流しながら、その場で倒れ込んだ。