男子に向かって、ずんずんと歩き始めた海原くん。男子がすべてを言い終わる前に、手で乱暴に口を塞いだ。



童顔のくせに大きい手。……なにからなにまで、男を感じさせるみたいで。



ほんのちょっぴり、くらっとした。



「うるさい。……黙ってて」



ちらと私に向けられた、海原くんの目は……どこか熱を帯びていて、甘くて。



「海原くん……?」



「あー、もう、わかったよ。そうだよ、そう。



鈴村さんが他の男にもそうやってたら、めっちゃムカつく。



僕にだけだとしたら、ニヤける。やめてよ」



「……海原くん……」



改まって呟いた私に、海原くんは怪訝そうな表情を浮べる。