「かーわいー!!」



うしろで男子たちが叫んでいる。



海原くんは 童顔 なのだ。



可愛いよね。ね。私もそう思う。



滅多に笑わない海原くん。可愛い可愛い海原くん。



海原くんを笑わせるために、私は立ち上がる!



「……」



思いっきり嫌そうな顔を浮かべて睨んでいるけれど……可愛い一面を知っているから、怖くない。とりあえず可愛いのだ。



「ねぇ、海原くん。そろそろ笑ってくれない?」



もういちど、渾身の変顔を。……いつまでたっても、笑ってくれないけど。



「ぶっは、鈴村やべぇ!」



男子が笑うけど、海原くんは笑わない。



うわぁん、ひどいよ。泣いちゃうよ。



「笑わないよ」



やっぱり、冷たい。愛想笑いでもいいから、してくれたらいいのに。