「やっぱり、あれかな。」天野さんが小声でささやく。
「天野さん、僕はどうしたら。。」
「あえて教えなくてもいいんじゃない?」
そうは言われても、このままほっといたら、どうなるんだろう。まさか、取り殺されたりしないよな。。

 気になって仕方なかった僕は、作業を終えると測定室を覗きに行った。無人の測定室の奥、測定ブースの大きな窓の奥に見えた咲さんの横顔は、誰かと話をしているように見えて、僕はギクリとした。

 朝から加工室を通った人はいない。ここは咲さんだけの筈だ。無意識に足が速まる。不意に足が何かにひっかかって、僕はコケた。

「あたっ。」
 丸椅子が倒れて転がる派手な音がした。