弁護士になっても他に愛する人に出会えないままだった静流だが。

 柊に出会ってしまい再び恋をした。


 零には新しく恋を始める事を報告し、思い出にすることを報告した静流。

 玲子も大喜びしてくれて、安心して前に進めると静流は思った。





 それからその日の夕方。

 静流は柊が仕事が終わる頃を見計らい、病院の近くに来ていた。


「あら? 先生」


 後ろから声をかけてきたのは綺麗な髪の長い女性。

 ほっそりした体系に、誰もがうっとりする穏やかな顔をしている。


 この女性は静流の事務所で勤務するパートさんで、名前を田中ミルと言う。

 現在35歳のミルはシングルマザーで10歳の女の子を育てている。

 密かに静流に想いを寄せている32歳の年上の女性である。


「先生、病院に来たんですか? 」

「いや、ちょっと待ち合わせをしているだけだよ」

「え? 誰かと待ち合わせ? もしかしてデートですか? 」

 そう言いながら、ミルは静流に歩み寄ってきた。


「ねぇ先生。娘が、先生の事を話したらとっても会いたがっていましたよ。カッコいい先生に会いたいって、喜んでいました」

 さりげないく静流の手を握るミル。

 静流はどう反応したらいいのか判らずないも答えない。

「先生は、子供好きですか? 」

「あ、まぁ好きだけど」

「良かった、じゃあ今度是非娘にあって下さいね」


 静流の手を握ってニコニコ話しているミル。


 すると・・・

 病院から歩いて来た柊が居た。


 静流の手を握って話しているミルを見ると、ハッとして足を止める柊。

「ん? 」

 立ち止まっている柊に気付いて、静流はミルの手を離した。


 柊はどうしたらいいのか判らずそのまま方向を変えて去って行った。


「あ・・・。ごめんなさい、ちょっと行きます」

 ミルにの手を離して、静流は柊を追いかけた。