そんなことを考えながら歩いていると凪のクラスの近くだった
そう言えば今日バイトあるのか聞いてなかったなと思いついでに聞こうと思い教室のドアに手をかけると
「柳瀬、かなに告られたらしいな」
「あーうん」
凪とその友達だろうか開けるタイミングを失った
「でも振ったらしいな」
「まぁね」
「誰か好きな子でもいるのか?」
この友達は中学校の友達ではないようだ
でも私も気になる
もしかしているのかな
いたら私は
「…いるよ」
あぁそうかやっぱり私がいたからずっと
邪魔だったろうな
「おーまじか。どんな子?」
「うーんそうだなーあえていうなら笑顔が可愛いかな」
笑顔か
私なんてあの日から心から笑えたことがあっただろうか
いつから凪がその子の事を好きだったのかは分からないけどその子のために使いたかった時間を私が奪ってしまっていたのは一目瞭然で
この関係を辞めることを決めた
その後の会話を聞く気にならずその場を後にした
放課後になり凪から
今日バイトだからご飯作らなくて大丈夫
とメッセージが来ていたので
とりあえず家に帰ることにした
家に帰り荷物を置いた時にインターフォンがなり
出てみると私の祖父母がおり
「りつ元気か?」
「ちゃんと食べてるの?」
「こないだ会ったばかりじゃんw」
でも心配してくれてるんだなと思うと嬉しくなる
「それで今日はどうしたの?来る時は事前に教えてくれるよね?」
「あぁその事なんだけどな?もうりつも高校生になって家が学校から少し離れてても大丈夫だろ?
それでうちに来ないか?」
「少し離れてるっていう距離じゃないけどもう1人で電車で通学しても安心じゃないけど大丈夫だと思ったのよ。それにいつまでも柳瀬さんに迷惑はかけられないじゃない?」
「もちろん強制じゃない。りつが決めてくれ」
関係を終わらせると決めたしいい機会かもしれない
「分かった。2人と一緒に生活する」
「おお!そうか!」
「あらほんとに!まぁいつ準備しましょう」
「結構すぐでも大丈夫?」
「え、ええ大丈夫だけどりつは大丈夫なの?」
「うん。凪とも話してたんだ」
「あらそうなの?じゃあ色々終わったら改めて柳瀬さんに今までのお礼とかしに来ましょうね」
「じゃあ今日はもう帰ることにするから荷物とか運ぶの手伝いにくる日はまた連絡するな?」
「うん。今日は来てくれてありがとう」
その後スケジュールなどを見て来週の土曜に引越しをすることになった
凪には言わないことにした
きっと凪は優しいから引っ越さなくていいと言ってくれるけどいつまでもその優しさに甘えてちゃだめなんだ
その優しさは好きな子に存分に与えて欲しい
バイトを辞めたり学校に提出している住所などの変更をしたりであっという間に時間は過ぎ
ついに明日がこの家とお別れする日だ
凪がバイトでいない日を見計らって荷物を少しずつ運び
今私の部屋だった所には寝るための布団しかない
お互いの部屋には入らないためきっと凪は気づいていないだろう
服なども元々そんなになかったのでバレていないと思う
今日がこの家から学校に行く最後の日かーなんて思いながら家を出る準備をしていると
「りつ」
「え?どうしたの」
部屋の前に凪が居るようだった
今この部屋を見られたらまずいな
「ちょっと待ってすぐ行くから」
「で、どうしたの?」
すぐに用意を済ませ部屋の中を見られないように気をつけながら部屋を出た
「最近服とか捨てた?」
「あーちょっとだけ捨てたよもう着ないやつとか」
「そっか」
気づいて欲しくなかったけど気づいてくれて嬉しい気持ちもあった
でももう終わりなんだな
「じゃあ先行くから」
「あ…」
無意識に腕を掴んでしまった
早く離さなきゃいけないのは分かっているけどどうしても離せない
「どうした?」
「えっと…その…なんでもないんだけどさ」
戸惑う私を見て凪は腕を掴んでる私の手を掴んだ
「大丈夫」
「え?」
「ごめんなんて言ったらいいのか分かんなくて」
なんで凪はこんなに優しいのだろうか
困らせてるのは私なのに
「いや私が困らせたから謝らないで
ごめん引き止めて行ってらっしゃい」
凪の腕から手を離しそう言っても凪は私の手を掴んだままだった
「どうしたの?」
「溜め込まないでね」
「え」
「何となく言いたかっただけだから」
そう言って凪は行ってしまった

