自分の机に戻る。五色くんがこちらを見た。
「どうかしました?」
「なんでもない」
こういうのには、馴れている。
大人の言葉を子供はよく聞いている。私立の結構有名な小学校から女子中へといった。わたしにはあまり友達ができなかった。
映画同好会に入ったのは、友達が欲しかったわけでなく、映画が好きだったから。幽霊部員が多いと知りながら、埃を被った部室は初めてできた学校の中の居場所だった。
親がどんな仕事をしてる、とか。
どんな相手と付き合いがある、とか。
事業の種類、規模、古さ。
皆はそういうものにばかり興味があり、新参者のわたしは、遠巻きに見られていた。



