虹になんて興味はないし、彼が虹を好きなことにも興味はない。
ただ、雨が好きな理由に関わっていたのなら、幸運だったと思う。

雨女の次に、虹をかけられる女の元へ行ってしまうとしても。

彼は、浅黄さんはわたしの言葉を聞いて、少し笑った。先ほどみたいな、見透かしたような笑みではなく、面白いものを見つけたという笑みだった。

「俺が、連れ出せないと思うか?」

手を伸ばされる。わたしは握っていた拳を解き、白くなった手をそちらへと差し出す。

愛なんてなくて良い。
分かり合えなくたって構わない。

ここから連れ出してくれるのなら。