わたしの想像していた大人とは、少し違った。
「行ってきます」
この部屋に差す西日が好きだった。
家を出たのは夕暮れ時で、カーテンの隙間から差し込むオレンジの光が眩しい。
浅黄さんの家で暮らすのに、それほど荷物を持たなかった。
「え、旅行かよ」
そう突っ込まれるとは思っていた。浅黄さんは怪訝な顔でわたしのキャリーケースを見ている。
「届いた荷物、あれで本当に全部か?」
「はい、昨日言った通りです」
「ミニマリストにでも目覚めたのか」
「それを浅黄さんに言われるって……」
この人も結構必要最低限のものとしか暮らしてない気がするけれど。



