わたしも瞬時にそれを思い出した。連絡先を知りたい。
「誕生日おめでとう」
「え、あ、どうも」
誕生日といえばあれだ。わたしが飲み潰れて浅黄さんの家にお邪魔した日のこと。
今更祝って貰うような歳でもないけれど。
「これ」
「ああ、どうも」
またしても内ポケットから出てきたものをこちらに差し出す。反射的にそれを受け取ってお礼を言う。
四角い箱だった。
きょとん、とする。
「これは……」
「とりあえず給料三か月分」
「待ってください、開ける前にお返しします」
「特注。よって返品は不可」
説明書みたいな言葉。



