生簀の恋は青い空を知っているか。


よく男女が付き合う問題のひとつに、釣り合う釣り合わないというものがある。

誰もが口を揃えて言うだろう。
釣り合わない、と。

わたしはボールペンを握った。

達筆の隣の欄に到底及ばない字で埋めていく。いい加減、腹を括ろう。

これ以上、はもうないのだ。わたしは限界だ。今が限界。それを知ってしまったのだから、仕方ない。

最後まで埋めた。証人の欄にわたしの父と浅黄さんの母親の名前があった。
いつの間に。

書き終えてボールペンを返す。

「ありがとうございました。これ、わたしが出してきますね。良いですか?」