いつかこんな日がくることを、どこかで予想していたのかもしれない。
「いつから知ってたの?」
「一年前くらいに、松葉がこの病院にいるのを見かけたの。毎週ね」
「そうだったんだ……」
「怒ってる?」
首を傾げて、鼎は尋ねる。わたしは小さく首を振った。
「お兄ちゃん、自殺しようとしたの。ずっと話せなくて、ごめんね」
理美には言えなかったのに、すんなり言葉が出る。
鼎は何かを言おうとして、口を少し開いたけれど、何も言わずに閉じた。
わたしは傘から出て、鼎から離れた。
そこから、どうやって家に帰ったのか覚えていない。



