隠したからには、墓場まで持っていかないといけなかった。
母はそれを危惧していたのだろう。誰にどこから知られるかなんてわからない。
雨はわたしの味方のはずだった。
弱く全身を濡らしていく。
理美とは反対側、駐車場の方へ歩いた。
一台の車の前に、傘を持って立つ姿があった。
それには、そこまで驚かなかった。
「……理美を連れてきたの?」
傘をこちらに傾けてくれたのは、鼎だった。
「ええ」
いつもと変わらない返事。
鼎が気づいていることに、わたしも薄々分かっていたし、鼎もそのことに勘づいていたのだと思う。



