振り向いてその顔を見る。泣きそうな表情はそのままで、わたしはそれをどう話して良いのか分からず、黙る。
「なんで、教えてくれなかったの?」
答えないわたしに理美は質問を続ける。
「あたしが秋水さんにメールしたって話したとき、どんな気持ちだった……?」
外灯が理美の涙を照らした。流れたその一筋に、わたしは言葉を探せなくなる。
風が吹いて、近くの木々を揺らした。
葉が触れあって、その音が耳に入る。
湿気を含んだその空気が重く、見えないのにどこからか落ちてくる気がした。
「ごめん」
わたしはそれしか言えなかった。



