理美の声に慌てて来たのだろう。驚いた顔をして私と理美を交互に見た。
「柴舟さん、すみません……」
「また来ます」
なんとなく経緯は見えていた。理美がここに来られた、ということはナースステーションを通したということだ。
あの看護師の人が通したのか、それとも席を立ったときに理美が通ったのか。
それは問題じゃない。
面会時間はどこも既に終わっている。静かな病院内を歩いて、外に出た。
外に出ると星は見えなかった。雲の向こうに隠れている。
「……秋水さん、何があったの?」
理美は歩いている間に落ちついたみたいで、小さく聞いた。



