五色くんが苦笑いする。

「俺はちょっと分かりますね」
「え」
「凡人は嫉妬するもんですから」

はは、と乾いた笑い。

「……わたし、地雷を踏んだ?」
「いやいや、まあ先輩は優秀な人だから。凡人側の気持ちが分からないのは当たり前です」

ここに、居たらしい。私は気が付かないまま、すごしていたらしい。

「わたしも凡人だよ……」
「新卒の頃から鬼みたいな仕事の量を一人でこなしてたひとを凡人とは言いません」
「五色くんだって優秀だし、人事にどっかに連れていかれると困るって思ってる」
「え」

五色くんが固まる。複雑そうな顔。