生簀の恋は青い空を知っているか。


言ってから気づく。どうしてこの人は怒っていたのだろう。

「もしかして、妬きました?」

ふざけて尋ねてみる。がっと繋いでいない方の手で両頬を掴まれた。

「いひゃい……」
「帰るぞ金魚」
「ひんひょ……!?」

わたしの頬を掴んだまま、浅黄さんは器用にタクシーを捕まえてそれに乗ることになった。

車内でやっと頬から手を離されて、疲れて窓の外を見る。

「今日はわたしが誘ったんです」

明日も職場に向かうのだと考えると、少しだけ気が重くなった。
こんなこと、今までなかった。

「嫌なことがあったから、飲みに行こうって誘いました」