だから、目を見ることは出来なかった。
ペットボトルの中の水面を見つめる。

「あ? 冗談の種類くらい選べよ」
「そ、そんなドスのきいた声で言わなくても……」
「恋人いて見合い相手と結婚するわけねえだろ、馬鹿なのか君は」

眠そうな顔が消えて、怒られた。顔を上げると頭上にチョップが落とされる。痛い。

「あと人間に裏とか表とかねえんだよ、どれも自分だ」

浅黄さんはそう言って、再度欠伸を噛み殺し、横になった。

「浅黄さん……」
「まだ何かあんのか」
「本当ですか?」
「俺が君に嘘吐いたことがありますか」